特定疾患療養管理料の2026年改定とは?変更点や算定要件を解説

特定疾患療養管理料は、慢性疾患の継続的な療養管理を評価する重要な医学管理料です。
2026年診療報酬改定では、NSAIDs投与患者の取り扱い変更や院内掲示義務の追加など、算定実務に影響する見直しが行われました。
本記事では改定内容や算定要件、点数一覧、返戻リスクまで整理し、現場で押さえるべきポイントを解説します。
特定疾患療養管理料の2026年改定における変更点
2026年の診療報酬改定では、特定疾患療養管理料に関する運用ルールが見直されました。
算定対象患者の範囲や施設基準に変更が加わっており、従来どおりの運用では返戻や査定につながる可能性があります。
ここでは実務上の影響が大きい変更点を確認していきましょう。
特定疾患療養管理料 2026年改定前後の比較表
| 確認項目 | 改定前の扱い | 2026年改定後の扱い | クリニックで必要な対応 |
|---|---|---|---|
| 胃潰瘍・十二指腸潰瘍 | 対象疾患として算定対象 | NSAIDs投与中の場合は算定対象外 | 自院処方だけでなく、他院処方を含めて薬剤情報を確認する |
| 長期投薬 | 掲示要件は明確に求められていない | 長期投薬に対応可能である旨の院内掲示が必要 | 掲示物を作成し、受付・診察室など患者が見やすい場所に掲示する |
| リフィル処方箋 | 掲示要件は明確に求められていない | リフィル処方箋に対応可能である旨の院内掲示が必要 | 患者から希望があった場合の確認手順を院内で共有する |
| 対象疾患の確認 | 対象疾患を主病とする患者が算定対象 | 主病確認に加え、除外条件への該当確認が重要 | 病名登録、主病設定、薬剤情報をレセプト前に点検する |
| 算定管理 | 初診・退院後1か月、月2回上限、カルテ記録を確認 | 従来要件に加え、2026年改定項目の確認が必要 | 算定チェックリストやレセコン設定を見直す |
特定疾患療養管理料 2026年改定では、算定対象外となるケースと院内掲示の要件が追加されています。従来の算定ルールをそのまま運用せず、主病・薬剤情報・掲示体制をあわせて確認することが重要です。
NSAIDs投与中の胃潰瘍と十二指腸潰瘍が算定対象外に
2026年改定では、胃潰瘍または十二指腸潰瘍を主病とする患者のうち、消化性潰瘍への投与が禁忌とされるNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の投与を受けている場合、特定疾患療養管理料の算定対象外となりました。
院内処方だけでなく他院からの処方内容も確認する必要があります。
複数の医療機関を受診している患者も少なくないため、薬剤情報の把握体制を整備し、対象外患者への誤算定を防ぐことが重要です。
長期処方やリフィル処方箋に関する院内掲示の義務化
改定後は、長期投薬やリフィル処方箋に対応可能であることを院内に掲示することが施設基準として求められます。
また、患者から希望があった場合には、病状や治療状況を踏まえたうえで適切に対応しなければなりません。
掲示物の準備だけでなく、受付や医師が患者へ説明できる体制づくりも欠かせません。
生活習慣病管理料への完全移行と外来出来高の厳格化
高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病については、近年の改定により生活習慣病管理料への移行が進められてきました。
2026年時点では、特定疾患療養管理料の対象疾患がより限定的なものとなっています。
そのため、従来の運用を踏襲しているだけでは算定漏れや誤請求が発生する可能性があります。
対象疾患の見直しと併せて、院内ルールを再確認しておくことが大切です。
特定疾患療養管理料の2026年改定後の算定要件
特定疾患療養管理料は、対象疾患に該当するだけで算定できるものではありません。
患者の状態や診療経過、カルテ記録など複数の要件を満たす必要があります。
ここでは基本となる算定要件を整理します。
特定疾患療養管理料 2026年改定後の算定可否チェックリスト
特定疾患療養管理料 2026年改定では、従来の主病確認やカルテ記録に加え、NSAIDs投与の有無や院内掲示体制の確認も重要です。レセプト請求前に上記項目を点検することで、返戻・査定リスクを抑えやすくなります。

厚生労働省が定める対象疾患を主病とする患者であること
算定対象となるのは、厚生労働省が定める対象疾患を主病として診療している患者です。
代表的な対象疾患には、虚血性心疾患、不整脈、心不全、脳血管疾患、喘息、慢性肝疾患、慢性膵炎などがあります。
対象疾患であっても副病名として登録されているだけでは算定できません。
診療の中心となる疾患であることが求められるため、病名管理の精度が重要になります。
初診料または退院料を算定した日から1か月を経過していること
初診日から1か月以内の患者には算定できません。
初診料を算定した日を起点として1か月を経過した後に、はじめて算定対象となります。
また、退院後の患者についても同様に、退院日から1か月が経過するまでは算定対象外です。
算定開始時期を誤ると査定対象となるため、レセプト請求時には十分な確認が必要になります。
診察に基づいた計画的な管理内容の要点をカルテに記録すること
特定疾患療養管理料では、療養上の管理内容を実施するだけでなく、その内容をカルテへ記録することが求められます。
服薬指導や食事指導、運動療法に関する説明など、どのような管理を行ったのかを明確に残さなければなりません。
実際に指導を行っていても記録がなければ算定根拠を示せないため、日常診療の中で確実に記載する運用が重要です。
特定疾患療養管理料の2026年改定における点数一覧
特定疾患療養管理料の点数は医療機関の規模や診療形態によって異なります。
収益管理や算定計画を考えるうえでも、改定後の点数を正しく理解しておくことが必要です。

診療所における対面診療とオンライン診療の点数
診療所の場合、対面診療では225点、オンライン診療では196点を算定できます。
特定疾患療養管理料は月2回まで算定可能であり、診療所では最大450点の算定が可能です。
継続的な慢性疾患管理を行うクリニックにとって、経営面への影響も小さくありません。
100床未満の病院における対面診療とオンライン診療の点数
許可病床数100床未満の病院では、対面診療が147点、オンライン診療が128点となっています。
病院においても慢性疾患患者の継続管理は重要な役割を担っています。
オンライン診療を活用する場合は、関連する施設基準の届出状況も確認しておきましょう。
100床以上200床未満の病院における対面診療とオンライン診療の点数
100床以上200床未満の病院では、対面診療87点、オンライン診療76点が設定されています。
病床規模によって点数差が設けられているため、自院の区分を誤認した請求には注意が必要です。
レセコン設定やマスタ登録も改めて確認しておくと安心です。
特定疾患療養管理料の2026年改定で注意すべき返戻リスク
算定要件を理解していても、実際の請求業務では返戻や査定につながるケースが発生します。
特に改定直後は運用ミスが起こりやすいため、よくあるリスクを事前に把握しておくことが重要です。

併算定できない他の医学管理料との重複請求
特定疾患療養管理料には併算定できない医学管理料が存在します。
特定疾患治療管理料や難病外来指導管理料、心臓ペースメーカー指導管理料などとの重複請求は認められていません。
診療科ごとに運用が異なる場合は、請求前のチェック体制を整備することが求められます。
他院で主病を治療している患者への誤った算定
対象疾患であっても、主病の治療を他院が担当している場合は算定できません。
紹介患者や複数医療機関受診中の患者では、どの医療機関が主病管理を担っているのかを確認する必要があります。
主病の判断を曖昧にしたまま請求すると返戻の原因となります。
同一医療機関で複数科を受診した場合の重複算定
同じ医療機関内で複数診療科を受診している患者では、主病を管理する診療科のみが算定可能です。
各診療科が個別に算定すると重複請求となるため注意しなければなりません。
院内で算定ルールを統一し、管理責任を明確にすることが重要です。
特定疾患療養管理料の2026年改定に関するよくある質問
改定内容に関しては、現場からさまざまな疑問が寄せられています。
ここでは特に相談の多い内容について解説します。

2026年の診療報酬改定はいつから施行されますか?
2026年度診療報酬改定は2026年6月1日から施行されています。
今回追加された院内掲示義務についても施行日から対応が必要です。
準備が遅れると施設基準上の問題につながる可能性があるため、早めの対応が求められます。
高血圧や糖尿病は今回の改定でも算定対象になりますか?
高血圧症や糖尿病、脂質異常症については、現在の制度では生活習慣病管理料での管理が基本となっています。
そのため、従来の特定疾患療養管理料の対象として考えるのではなく、自院の算定区分や運用ルールを確認することが大切です。
長期処方やリフィル処方箋の対応が難しい場合はどうすればいいですか?
長期処方やリフィル処方箋は、すべての患者に一律で対応しなければならないわけではありません。
患者の病状や服薬状況を踏まえて医師が判断できます。
ただし、対応可能である旨の掲示や、患者からの希望に対する適切な検討は必要です。
院内で判断基準を共有しておくと運用しやすくなります。
特定疾患療養管理料の2026年改定を押さえて適切な算定を行おう!
特定疾患療養管理料は、慢性疾患患者への継続的な療養管理を評価する重要な診療報酬です。
2026年改定では、NSAIDs投与中の胃潰瘍・十二指腸潰瘍患者が対象外となったことや、長期処方・リフィル処方箋に関する院内掲示義務が追加されたことなど、実務への影響が大きい変更が行われました。
対象疾患の確認、初診からの経過期間、カルテ記録、併算定制限などを適切に管理することで、返戻や査定のリスクを抑えられます。
改定内容を正しく理解し、自院の運用体制を見直して適正な算定につなげましょう。
ご相談・お問合せ
「特定疾患療養管理料の算定要件が正しく理解できているか不安」
「改定後の院内運用をどのように整備すればよいかわからない」
「返戻や査定が増えており請求体制を見直したい」
こういったご相談を、クリニック経営の現場から多くいただいています。
当社では、診療報酬改定への対応だけでなく、算定体制の整備やレセプト運用の見直しまで、クリニックの実態に合わせてサポートしています。
「今の運用方法で問題ないか確認したい」という段階からでも、お気軽にご相談ください。




