面接は選ぶ場ではない。 拡大期クリニックが成果を出す「三位一体面接」の実践
採用数を伸ばしながら定着率を改善するためには、
面接を「見極めの場」から「可能性を引き出す場」へ設計し直す必要があります。
今回、弊社に在籍し、拡大を続けるとある医療グループで
採用全体を統括する責任者に詳細なヒアリングを行いました。
その中で語られたのが、「魅力づけ・見極め・育成」の三位一体面接という考え方です。
これは単なる面接テクニックや面接マニュアルの話ではありません。
拡大フェーズの理事長・採用責任者が直面する構造問題への回答でした。

拡大フェーズで起きていた「面接の逆機能」
その医療グループでは、カウンセラー職を中心に大量採用が必要なフェーズにありました。
月間エントリーは数百単位。
募集は来ているけど、承諾に至らない。1年以内離職率が約70%で、入職してもすぐ退職してしまう。
そんな状況だったと言います。
拡大のスピードや規模に、体制が追い付いておらず
そのような状態で、半年に数十人規模の採用目標を達成することは明らかに難しく
面接内容や人事部組織の根本から見直しを入れたそうです。
ヒアリングの中で印象的だったのは、こうした言葉です。
面接が“減点方式”になっていました。
可能性を見るのではなく、粗探しをしていたんです。
特に若手面接官ほど、厳しくなりがちだったと言います。
なぜか。
- 自分に決裁権がない
- 上に上げた人材を否定されたくない
- 「ちゃんと見極めた」と評価されたい
この心理が働くと、面接は自然と「落とす理由探し」になります。
拡大期にこれをやるとどうなるか。
母集団は増えても、可能性のある人材が削ぎ落とされる。
結果、慢性的な採用不足と高離職が同時に発生します。
三位一体面接とは何か(構造を平易に整理する)
担当者が徹底していたのは、面接を3つの要素で構成するという設計です。
① 魅力づけ
いきなり評価しない。
まず志望度を上げる。
「偉そうな面接官になるな」とメンバーに伝えているそうです。
拡大期の採用は競争です。
候補者は他社も受けています。
志望度が低いまま見極めに入れば、承諾率は上がりません。
② 見極め
もちろん評価はします。
ただし減点方式ではない。
「この人が活躍する可能性はどこにあるか」という視点で見る。
③ 育成
ここが最も特徴的です。
面接中に、あえて指摘する。
例えば、
求職者の態度や言葉遣いが良くない場合、
その場で
「このままだと通用しないよ」と伝える。
そして反応を見る。
- 素直に受け止めるのか
- 言い訳するのか
- 目が変わるのか
この反応こそがポテンシャルだと語ります。
実際、教育的介入を行ったケースの2~3割は志望度が一気に上がるとのことでした。
「初めて本気で向き合ってもらった」と感じる候補者が一定数いるのです。
教育型面接はリスクか?
もちろんリスクはあります。
- 口コミ悪化
- ネガティブ投稿
- 感情的な衝突
そのため、同グループでは口コミスコアもKPIとして管理しています。
不採用でも「納得してもらう」ことを重視している。
つまり、
厳しくするのではなく、真剣に向き合う。
この違いが重要です。
育成的な関わりは、
やりすぎれば圧迫になります。
しかし適切に行えば、
- 見極め精度が上がる
- 入社後のギャップが減る
- 定着率が改善する
実際、採用設計を変えて以降、カウンセラー職の1年以内離職率は70%→30%未満に改善しています。
なぜ拡大中のクリニックに必要なのか
拡大期の理事長が直面するのは、
- 採用スピードを落とせない
- でも質も落とせない
- 育成リソースも限られている
という矛盾です。
三位一体面接は、この矛盾を構造的に解きます。
なぜなら、
- 魅力づけで承諾率を上げ
- 見極めで事故を減らし
- 育成で入社前から適応力を測る
という“前倒し設計”だからです。
入社後に教育するのではなく、
面接の段階で未来を試す。
これが拡大フェーズでは特に有効です。
今すぐ導入可能な面接官の心得
Step1:面接官の“減点思考”を止める
面接官の心理を言語化してください。
「上に怒られたくないから厳しくしていないか?」
この問いを共有するだけで変わります。
Step2:育成質問を1つ入れる
全候補者に、あえて1つ改善指摘をする。
その反応を評価項目に追加する。
Step3:承諾率と定着率を紐づける
承諾率だけを見ると魅力づけに偏ります。
定着率だけを見ると見極めに偏ります。
両方をセットで見る。
これだけでも、面接の質は大きく変わります。
よくある質問
Q. 面接で教育するのはやりすぎでは?
人格否定ではなく、行動へのフィードバックであれば有効です。反応こそがポテンシャルです。
Q. 厳しくすると応募が減りませんか?
短期的には減る可能性があります。しかし残る人材の質は上がります。
Q. 全職種に有効ですか?
大量採用・営業系・ポテンシャル採用には特に有効です。
最後に
採用は選別ではありません。
組織の未来をつくる設計行為です。
拡大期に必要なのは、完璧な人材ではなく、伸びる人材を見抜き、引き上げる設計です。
もし、
- 面接官ごとに基準がばらついている
- 承諾率は高いのに定着しない
- 面接が感覚頼りになっている
そう感じているなら、一度面接設計そのものを見直すタイミングかもしれません。
- 教育型面接の着目ポイントや具体的な方法が知りたい
- 面接官トレーニングが必要だと感じている
- 育成質問で何を聞けばいいかわからない
そう感じているクリニックの採用責任者の方は、ぜひお気軽にお問合せください。
現場で実際に改善ができた対策には、再現できる理由があります。
拡大を止めないための採用設計について、さらに具体的に整理したい方は、
ダウンロード資料もご活用ください。


