一般社団法人がクリニックを設立するまでの流れ
現在は、医師免許を持たない人でもクリニックの開業が可能です。
今回は一般社団法人がクリニックを設立するまでの流れと、一般社団法人がクリニックを開業することに対する国の考え方について解説していきます。
一般社団法人でもクリニックの開業はできる! その流れについて
一般社団法人がクリニックを開業できるようにしようという取り組みは、平成25年から本格化しました。ただ医師・歯科医師が個人でクリニックを開業する場合とは異なり、一般社団法人(および医療法人)がクリニックを開業するときには都道府県知事の許可を得ることが必要となります。
これを前提として、一般社団法人がクリニックを開業するまでの流れを解説していきます。
1. 一般社団法人を立ち上げる
まず一般社団法人を立ち上げます。一般社団法人の立ち上げは法務局への登記を行うだけで完了します(NPO法人の場合は、行政庁の認証を受ける必要がある)。
ただしこの時点で、定款や設立登記申請書、印鑑届け出などの複数の各種書類をそろえることが求められます。
書類をそろえて、法務局で登記を完了させれば、一般社団法人としての法人格を得ることができます。
2.診療所開設許可申請を出す
診療所開設許可申請を出し、クリニックの開設許可を受けます。なおこの診療所開設許可申請は、保健所に出すものです。保健所の立ち入り検査によって、施設の構造などが確認されるので、この点も押さえておきましょう。
3.保険医療機関指定申請を出す
保険診療を行うためには、保健医療機関指定申請を行わなければなりません。これは地方厚生局(全国に8つある、厚生労働省の地方支局のこと。「関東信越厚生局」「近畿厚生局」などがある)を窓口とします。
一般社団法人がクリニックを開業するまでに必要な申請工程は、以上の3ステップで終わりです。
ただし診察所開設許可申請を出す前には、当然クリニックの解説の準備をしなければなりませんし、その段階で場所を決めたり内装工事を行ったりする必要があります。またこの段階で、保健所に一度相談しておくべきでしょう。
さらに、3の後には、実際にクリニックを安全に運営するために、個人情報保護のための方針を決めるなどの手続きも必要になります。一つひとつの工程において求められる書類も多く、比較的スピーディーに開業できるとはいえ、最低でも1年近くの準備期間が必要になると考えた方がよいでしょう。
今後、一般社団法人のクリニック開業はもっと厳しくなると考えられる

もう一つ、一般社団法人がクリニックを開業するうえで押さえておきたいことがあります。それが、「2025年以降は、一般社団法人がクリニックを開業しようとするとき、そのチェックが今までよりも厳しく行われることが予想される」という点です。
すでに述べたように、一般社団法人は医師・歯科医師の資格を持っていない人でも設立することができます。一般社団法人が開設したクリニックは、ここ4年で2倍近くにまで増えています。
法律においては「営利目的でクリニックを開業してはならない」と決められてはいるものの、営利目的でクリニックを運営している一般社団法人も多くあるという専門家からの指摘は、かねてから存在していました。
このような指摘を受けて、国でも、「一般社団法人がクリニックを開業する際には、より厳しい書類提出を求める」という方針を打ち出しました。またこの方針は「これから開業する予定のクリニック」だけではなく、「すでに運営されているクリニック」にも及ぶとみられていて、定期的な報告が求められるなど変化が起きると考えられています。
今後、改革がされるであろう一般社団法人のクリニック開業も、専門家のサポートを受けることでスムーズに行えます。
一般社団法人として新しくクリニックを開業したいとお考えの方は、ぜひ弊社にご相談ください