拡大期のクリニックが陥る採用の罠

カウンセラー採用で起きた「拡大の歪み」の実例
人材採用・組織構築の面について申し上げると、
拡大フェーズで最も危険なのは、採用がうまくいかないことではありません。
事業戦略と採用戦略がズレたまま、人を入れてしまうことです。
今回は、弊社社員が採用責任者として携わった、とある自費診療クリニックグループで
実際に起きたカウンセラー採用の事例をもとにお伝えします。
開院前に6名を先行採用したが…
そのグループは、新規展開を前提にカウンセラーを一気に6名採用しました。
当時の前提はこうです。
- 新規院を順次開設する
- 早期に売上を立てる
- カウンセラー体制を先に教育して整える
- 成果次第では高収入も可能
この計画自体に問題はありません。
しかし問題は、開院スケジュールが想定より遅れたことでした。
予定から約5ヶ月、実践の場が用意できなかったのです。
結果として現場で起きたのは、
ロールプレイ中心の日々。
本番経験が積めない。
売上が立たない。
成果報酬も発生しない。
戦う場所がないのに、戦闘要員だけがいる状態になってしまいました。
「美容カウンセラー 年収」の期待と現実
求職者が美容カウンセラーの求人を探すとき、
「美容カウンセラー 年収」は検索上位キーワードです。
- 年収800万可能
- 年収1000万も目指せる
- 高インセンティブ
こうした打ち出しは、集客としては非常に有効です。
しかし、ここで問うべきは一つ。
その年収を実現できる“タイミング”を本当に用意できているか。
基本給は支払われていました。
けれど応募者が期待していたのは、インセンティブを含めた収入水準です。
売上が立たなければ、当然インセンティブは発生しません。
すると、こう感じ始めます。
「面接で聞いていた話と違う」
これは制度の問題ではなく、
期待値設計の問題です。
一人の若手カウンセラーの退職
6名を先行採用した中に、若い男性カウンセラーがいました。
面接では厳しくフィードバックされながらも、「やります」と火がついたタイプです。
ヒアリングした責任者はこう言います。
正直、彼はカウンセラーに向いてる人、クリニックに貢献できる人だったと思います。
売上への意識が高く、
時間を見つけては施術知識を自主的に勉強していた。ロールプレイも誰よりも真剣だった。
しかし、実践機会が限られていた。
4ヶ月後、彼は退職しました。
最後に残した言葉は、
「期待に応えられなくてすみません」
でした。
本当にそうだったのでしょうか。
真価を発揮できる前に、
戦略のズレが彼を消耗させてしまったことが原因だったのではないでしょうか。
優秀な人材が競合へ流れるリスクは、こうして生まれます。
採用戦略は、経営戦略の“翻訳”でなければならない
美容カウンセラーの求人を出すとき、
- どの年収帯を打ち出すのか
- インセンティブ設計
- 立ち上がり期間をどう説明するのか
これは採用部門だけで決められる話ではありません。
経営戦略が採用戦略に翻訳され、
採用担当者まで正確に降りている必要があります。
もし、
- 開院スケジュールが流動的
- 集客見込みがまだ不透明
- 売上化まで時間がかかる
のであれば、面接でその現実をどう伝えるかを設計しなければなりません。
曖昧なまま採用すれば、
優秀な人材ほど違和感を覚えます。
それは単なる一人の退職ではなく、
組織の信頼損失につながります。
採用には、その人の人生を預かる責任がある
求職者は、転職によって生活水準を上げたい、
キャリアを変えたいという強い意志を持って応募してきます。
その決断の背景には、
- 収入の向上
- 成長機会
- やりがい
があります。
面接で語る未来は、その人の人生設計の一部になります。
開院までの期間をどう説明するか。
期待値をどう設計するか。
イレギュラー時にどうフォローするか。
ここまで含めて、採用戦略です。
経営陣に求められる視点
拡大期の理事長・院長が考えるべきは、
- いつ人を入れるか
- どの水準の年収を提示するか
- 立ち上がり期間をどう支えるか
そして、
その戦略が採用担当者まで正確に共有されているか。
事業戦略と採用戦略が現場スタッフまで届いていなければ、
組織は安定した利益を出す循環にはなりません。
優秀なスタッフを失うことは、
売上の機会損失だけではありません。
最後に
美容カウンセラーの求人は、魅力的な年収設計だけでは成立しません。
- 事業フェーズ
- 売上化までの時間
- 現実的な収入推移
- 活躍できる環境
これらが一致して、初めて機能します。
採用は未来の約束です。
その約束を、経営として本当に守れるか。
拡大期の今こそ、
一度立ち止まって考える価値があります。
お問合せ・ご相談
私たちは、貴院のフェーズに合わせた採用戦略設計から実行支援まで伴走します。
採用に苦戦している。
スタッフの定着に課題がある。
そう感じている理事長や院長は、ぜひお気軽にご相談ください。


