「クリニック開業」は医師のキャリアを考えるうえで非常に重要なキーワードとなります。しかしクリニックの開業ができるのは、医師「個人」に制限されているわけではありません。
今回は「一般社団法人とクリニック開業」をテーマに、「一般社団法人はクリニックを開業できるのか」「医療法人との違い」などについて解説していきます。
クリニック開業はだれにでもできるものではない~3つの方法
クリニックを開業することができるのは、
・医師もしくは歯科医師個人
・医療法人
・(非営利型)一般社団法人
の3つです。最後の選択肢については後述するとして、上2つについて解説していきましょう。
医師もしくは歯科医師は、独立開業が認められています。自分の名前でクリニックを開業・運営していくことができます。開業医は勤務医に比べて年収が2倍ほどにまでなるので、開業は医師にとって必ず一度は考えることになる選択肢だといえるでしょう。
医師もしくは歯科医師は、独立開業が認められています。自分の名前でクリニックを開業・運営していくことができます。開業医は勤務医に比べて年収が2倍ほどにまでなるので、開業は医師にとって必ず一度は考えることになる選択肢だといえるでしょう。
「医療法人」は、医療の提供と国民の健康維持を目的として組み立てられる法人のことをいいます。医療法人になるためには、各都道府県の知事から許可を受ける必要があります。医療法人の特徴は、「営利を目的としない」ということにあります。あくまで国民の健康のために働くことを目的としているため、剰余金が出てもそれを配当することができません。
医療法人は個人でのクリニックの開業に比べて資金が集めやすく、また決済日が自由に決められるという特徴があります。
一般社団法人がクリニック開業を認められることの要件とは
では、一般社団法人の場合はどうでしょうか。
一般社団法人は、「営利を目的としない」「配当は不可である」という点では、医療法人と同じです。ただ、一般社団法人の場合は、解散をすると決めた場合は余った資産を分割することができます。この点で、一般社団法人と医療法人は大きく異なります。また医療法人は理事長が医師または歯科医師であることが基本であることに対し、一般社団法人の場合は医師や歯科医師でなくても理事長になることが可能です。
ただ、「一般社団法人ならばどんな状況でもクリニックを開業できる」というわけではありません。
医療法を読んでいくと、「一般社団法人によるクリニック開業は認める。しかし、開設をする一般社団法人が、本当に非営利団体であるかをしっかり確認する必要があること」と定義されていますので、「利益が目的」となっていないかを慎重に精査すべきでしょう。
一般社団法人がクリニックを開業することの注意点
すでに述べたように、一般社団法人でも利益追求を目的としない限りは、クリニックの開業はできます。しかしそれ以外にも細かな制限があります。
たとえば、医療法人では理事がすべて親族・血縁者で占められていても問題ありません。「医師の父親が理事長を務め、長男の医師が理事1を務め、長女の医師が理事2を務める」などの状況は、決して珍しいものではありません。しかし一般社団法人の場合は、血縁関係のある理事が3分の1以下であることが求められます。
また、クリニックを法人化したい場合、医療法人開業の際には半年程度の認可までの期間や行政のスケジュールに影響されます。対して一般社団法人の場合は、随時法人化ができます。
一般社団法人におけるクリニック開業のメリットとデメリットの詳細は、また次回お伝えします。
私たちは、個人様・医療法人様・一般社団法人様の開業のお手伝いをしていますのでお気軽にご相談ください。