クリニック開院の物件契約——「検討依頼書・申込書・契約書」はどう違うのか
物件探しが進み、有力な候補が見えてくると、
いよいよ契約に向けた話が動き始めます。

ただ、実務ではいきなり契約書を交わすわけではありません。
契約に至るまでにはいくつかの段階があり、それぞれ役割が異なります。
代表的なのが次の三つです。
- 検討依頼書
- 申込書
- 契約書
普段テナント契約に触れる機会が少ない院長先生にとっては、
この流れが少し分かりにくいかもしれません。
ここでは、実務の現場でどのように使い分けられているのかを整理します。
「検討依頼書」の役割
最初に登場することがあるのが検討依頼書です。
ただし、必ず提出するものではありません。
仲介会社から求められた場合に提出する程度で、
役割としては「この物件を前向きに検討している」という意思を伝えるものです。
- どんな事業者が検討しているのか
- どのような用途で使う予定なのか
こうした情報を貸主側に共有する意味合いがあります。
人気物件では複数の候補者が同時に検討していることもあるため、
早めに意思を伝えておくことで、貸主側に覚えてもらう効果もあります。
将来空きが出た際に声をかけてもらえることもあり、
契約手続きというより、検討状況を共有するための書面といえます。
「申込書」の役割
物件を本格的に進める段階になると、必ず提出するのが申込書です。
これは、
「この条件で借りたい」という意思を正式に示す書類です。
申込書には、借りたい条件を整理して提示します。
貸主はその内容をもとに、
- この条件で貸せるか
- 調整が必要な点はどこか
を検討します。
実務では、この申込書が条件交渉のベースになります。
提示した条件が難しい場合、貸主側から別案が出されることもあり、
そのやり取りを重ねながら合意内容を整えていきます。
メールや口頭でも意思表示はできますが、
申込書はそれを正式な形で整理するための書面です。
「契約書」の役割
申込書をもとに条件がまとまると、契約書の作成に進みます。
契約書は、双方で合意した条件を正式な形で確認し、
将来のトラブルを防ぐための書面です。
契約書には、これまで調整してきた内容が正式に反映されます。
ここで重要なのは、
申込書で合意した内容が、契約書に正しく反映されているか
という点です。
多くの物件では契約書の雛形があり、
そこに個別条件を反映させる形で作成されます。
そのため、調整した内容が反映されずに残ってしまうことも珍しくありません。
契約書の確認は、形式的な作業ではなく、
これまで整理してきた条件が正しく反映されているかを確かめる工程です。
三つの書面の役割を理解しておく
物件契約のプロセスは、一度の手続きで決まるものではありません。
- 検討の意思を伝える段階
- 借りたい条件を提示する段階
- 合意内容を契約として整理する段階
それぞれの書面には役割があり、使われる場面も異なります。
この違いを理解しておくことで、
物件検討の流れが見えやすくなります。
最後に
物件契約は、単に書類を交わす手続きではありません。
検討状況を共有し、
条件を整理し、
最終的に契約としてまとめていく。
こうした段階を経て進んでいきます。
この流れを理解しておくことで、
物件選定のプロセスをより落ち着いて進めることができます。
ご相談・お問合せ
私たちはクリニック開業支援の実務を通じて、
- 物件検討の進め方
- 申込条件の整理
- 契約に向けた実務サポート
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