オンライン診療をどう考えるか~そのメリットとデメリット

オンライン診療のメリット

新型コロナウイルス(COVID-19、以下「コロナ」)禍で一気に広まったものとして、「オンライン診療」があります。今回はこのオンライン診療について、医療機関側からのメリット・デメリットについて解説していきます。

目次

オンライン診療を行うことのメリット

2020年には9.7パーセントの医療機関が「オンライン診療が可能である」としていました。コロナ禍が続くなかでこの割合はさらに増え続け、2023年の7月には16.1パーセントと、6分の1近くの医療機関がオンライン診療に対応するようになりました。

オンライン診療にはいくつかのメリットがあります。

1.混雑の緩和

患者様が多く来訪されるクリニックの場合、混雑によって長い待ち時間が発生することもよくあります。この「混雑」は院内感染を引き起こす原因ともなるもので、インフルエンザがはやるシーズンなどは特に気をつけるべきものです。

しかしオンライン診療を実施することで、混雑が緩和され、待ち時間が短くなったり、感染症に罹患するリスクが少なくなったりします。

2.継続での治療ができる

患者様の状況は、日々変わります。

「今まで通っていたが、家事や育児、仕事などで通うことが難しくなった」ということで、治療に通うのをやめてしまう患者様は決して少なくありません。そしてその病気が、「継続治療・継続観察が必要なものではあるが、痛みが出るものではない(命に関わるものではない)」という場合、状況が落ち着いた後でも通院を再開しなくなってしまうこともよくあります。

しかしオンライン診療を導入すれば、最初の「離脱」をまず防ぐことができます。

「次の予約はいつにしますか?」と聞いたときに「仕事で忙しくて……」と言われたときも、「ご都合に合わせてオンライン診療ができます」と案内することで、「予約のある状況」を作り出せます。

治療を継続させることは、患者様のためだけではなく、「定期的な収入を確保できる」というクリニック側のメリットにも繋がります。

3.スタッフの手間を減らせる

医療機関はその性質上、体に不自由を抱えた患者様が来院されたり、消毒作業をしっかり行うことが求められたりする場所です。そのためにスタッフの手が多くとられることもあるでしょう。

しかしオンライン診療を実施すれば、このような対応を減らすことができます。その結果、スタッフの仕事が減り、より効率的に動けるようになります。また、業務過多による残業代の発生なども抑えることができます。

オンライン診療にもデメリットがある

オンライン診療のデメリット

さまざまなメリットがあるオンライン診療ですが、デメリットもあります。

1.対面診療よりも利益に繋がりにくい

オンライン診療は、対面診療に比べて、点数が低く設定されています。

たとえば初診料ですが、オンライン診療の場合は251点とされていますが、対面診療の場合は291点です。そのため、診療料金はどうしても安くなってしまいます。

なお以前はオンライン診療の初診料はもっと低く、2022年に改定されたという経緯があります。

2.一部の処方に制限がある

厚生労働省では、「初診からオンライン診療をしてもかまわない」としていますが、「麻薬や向精神薬の処方は禁ずる」という方針を出しています。

また、患者様の基礎疾患などの情報を把握できていない場合は、出せる薬は7日間を限度とするといった制限などがあります。

3.患者様によって対応可能範囲が変わる

患者様のオンラインツールに関する理解は、お一人ずつ異なります。オンライン機器を使うことに慣れていない人、ご高齢の方、ご自身の状態を電話などだけで話すのが難しい方の場合は、オンラインでは十分な診療ができないこともあります。また、オンライン診療だけでは症状を把握しきれないこともあります。

このようなデメリットもあるため、オンライン診療がオフライン診療の完全互換になることはありません。

ただ、オンライン診療には多くのメリットがあり、医療機関の診察の形態のうちのひとつとして考えるべき選択肢であることは確かです。

「オンライン診療を導入してみたい」「オンライン診療の導入を迷っている」という先生方は、ぜひ私たちにご相談ください。

そのメリット・デメリット、貴院への向き不向きを、一緒に考えていきます。

出典:厚生労働省「令和5年12月 ~ 令和6年3月の電話診療・オンライン診療の実績の検証の結果」p4、p9

march「オンライン診療における診療報酬や算定要件を詳しく解説」

厚生労働省「オンライン診療等の診療報酬上の評価見直しについて」p5

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