医師のキャリアアップを考えるときに非常に重要な意味を持ってくる「専門医」という言葉は、開業を考えるうえでも重要なキーワードとなります。
ここではこの「専門医」という言葉を取り上げて、
・開業を考える場合、専門医の資格は必要不可欠なものかどうか
・専門医の資格を有した状態で開業することのメリット
について解説していきます。
「専門医の資格を持っていなければ開業ができない」ということはない
「専門医」とは、その専門分野において、十分な経験や知識を持っていることが担保された医師」に与えられる資格です。専門医の資格試験を合格しなければ取得することができない資格ではありますが、医師免許を持つ人ならば、だれもがキャリアアップのためにこの専門医の資格を取得することを考えるでしょう。
また、脳神経外科や泌尿器科、耳鼻咽喉科などに関しては専門医の取得率が75パーセントを超えており、4人に3人以上がこれをとっていることが分かっています。ちなみに一番低いのは「内科」の12.1パーセントですが、それ以外の科目のすべてで40パーセントを超えています。
クリニックや病院を開業しようとするとき、しばしば、「専門医の資格を取得していなければ、クリニックは開業できないか?」という疑問を抱く人が見られます。
これに関しての答えは、「専門医の資格を持っていなければ、開業ができないということはない」です。
専門医の資格の有無は、クリニック開業の可否には関わってきません。非常に順調にいった場合でも専門医の資格を得るまでには医学部入学から11年かかります。つまり、専門医を取得する最低年齢は29歳だというわけです。
対して、データによって多少の違いはあるものの、20代で開業をする医師も0.02パーセント程度存在するという統計もあります。もちろんこの0.02パーセントが「29歳で専門医を取得して、その直後に開業した人たちである」という可能性も否定できませんが、専門医の資格を持っていない状態で開業にいたる人もいると考えられます。
それでも、専門医の資格を取得することには意味がある
ただ、「専門医の資格の所持は、クリニック開業の絶対条件ではない」とはいうものの、専門医の資格が開業~クリニックの運営において意味を持つのは確かなことです。
「専門医」という言葉の詳しい部分を知らない(潜在的な)患者様であったとしても、「専門医が診てくれるクリニックと、専門医ではない医師が診てくれるクリニック」を比べれば、他の条件が一緒ならばまず間違いなく前者を選ぶでしょう。
また、一部の保険診療項目は、「当該科目において5年以上の経験を持つ専門医が複数名もしくは15年以上の経験を持つ指導医が1名以上いること(※常勤)」のように定められています。実際に「待ちのクリニックで行われたという報告は(平成20年の段階ではありませんが、人工膵臓などがこれにあたります。
さらに、開業をした場合は(共同での開業でもない限り)「すべての責任を、自分が負う」という状況になります。もちろん大きな病院と連携して治療にあたっていくこともありますが、自分自身に知識がなければ、判断に迷ったり、治療方針を決めかねたりする可能性が高くなります。専門医の資格をとるところまで勉強をしておけば、このようなリスクの可能性を減らすことができます。
専門医の資格は開業の必須条件とはなりませんが、開業を考えている場合には取ることが強く推奨される資格だといえます。 KSメディカルサポート株式会社では、開業の悩み全般のご相談をお引き受けしていますのでご相談ください。