クリニック開業のときに考えなければならないのは、人材や場所のことだけではありません。内装について考える必要もあります。
今回は、「美容医療クリニックを開業するときの、内装工事の方向性について」をテーマに解説していきます。
クリニックの内装工事の基本知識
クリニックの内装工事を考えるときには、以下の3つを押さえる必要があります。
・機能性
・印象
・資金
ひとつずつ見ていきます。
まず初めに1つめの「機能性」から見ていきましょう。
一口に「クリニックの内装」といっても、そこに求められる内装は科によって大きく異なります。たとえばレントゲンを撮る科の場合は当然レントゲン室を準備しなければなりませんし、整形外科などの場合はリハビリ室を設けることも考えなければなりません。
また、病院は病気の人も多く来院されるため、壁を除菌・抗菌仕様の特殊加工にすることが求められます。
さらに、スタッフの導線も考えておかなければなりません。大回りをしなければ各部屋にアクセスできないような状況では仕事がしにくくなります。しかし導線を意識しすぎるあまり、壁にすべきところをすべて扉にしてしまった場合、プライバシー性が担保されにくくなるというデメリットがあります。
今回特に取り上げたいのが、「印象」です。
クリニックは、内装が変わるだけで大きくその印象が変わります。この印象作りに失敗してしまうと、「アクセスしやすく、先生も良い人だけれど、なんとなく行きにくいクリニック」になってしまいます。
意識したいのは、「科と、ターゲット層の性質」です。
たとえば、小児科ならばパステルカラーや木目を多用して、ぬくもりのある空間に仕上げる必要があります。また小児科の場合は、キッズスペースを設けることが必須となるでしょう。
逆にAGAクリニックなどの場合は、キッズスペースは基本的には必要ありません。デリケートな分野ですから、患者さん同士の感覚を広くとれるように配慮した待合室作りや、プライバシー性を高めることを目的として天井部分まで届く壁を積極的に採用していくことが求められます(美容外科クリニックについては後述します)。
上記2つに加えて考慮したいのが「資金」です。
どれだけ良い内装を考えたとしても、資金面で厳しければあきらめざるを得なくなります。
一般的にクリニックの内装工事の坪単価は30万円~100万円だとされていますが、どのような設備を導入するか、どのような壁紙を使用するかでも費用は大きく異なってきます。
美容外科クリニックに求められる内装とは
上記を踏まえたうえで、「それでは美容外科クリニックにはどのような内装が求められているか」について考えていきましょう。
美容外科クリニックは、ほかのクリニックとは異なり、「(病気やけがなどの具体的な『困った症状』がなくても)美しくなりたいと考える人が足を運ぶ場所」です。
そのため、病院然とした内装よりも、ホテルのようなラグジュアリーさが感じられる内装が好まれる傾向にあります。そのため、一般的な「病院のカラーといえば、白」という概念とは真逆を行くような、高級感のある黒色をメインカラーにしたクリニックなどもよく作られています。
また、美容外科クリニックの場合、トイレが広く美しく作りこまれる傾向があります。大きな鏡がしつらえられることが多いほか、個室ブースのようになっているところも見られます。また、美容外科クリニックで取り扱っている化粧品・スキンケアグッズを置くことを前提として、手洗い台も広く作られていることが多いといえます。
なお美容外科クリニックの場合は、特に「クリニック全体の統一感」を意識する必要があります。高級ホテルのような受付にするのであればトイレもそのようにすべきですし、逆にウッディで暖かみのある受付にするのであれば、ほかの箇所もそのようにすべきです。
美容外科クリニックの場合、内装のセンスもまた患者様に問われていると考えるべきでしょう。
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